ずっとそばにいてくれたね 第37話

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「俺じゃ駄目だ。お世話になってる方に紹介するなら、ちゃんと大切に思っている相手を誘え! いないんなら、ひとりで行け」 拓にぃの返事は、予想外の、半分お説教じみたものだった。 「……わかった。ひとりで行きます」 「間違っても、合コンなんぞで掴まえた男なんか連れていくなよっ」 「ぐほっ。もう、いいじゃん合コンの話しは!あれは、行きたくて行ったんじゃないって言ったじゃん」 「はいはい、お兄ちゃんは、璃子ちゃんの事を、ちゃんと解ってますよー」 ぐおーっ!拓にぃのバカ!からかうような言い方に腹がたったが、拓にぃの言うことは、もっともで……。 あたしは、気付かれないように小さくため息をついた。 「ほら、着いたぞ」 広い駐車場を見れば、みんなを乗せて来たであろうマイクロバスに、隼人さんの物であろう高級車と優輝さんの車が止まっていた。 和也さんの車は、当然、止まっていない…… シュン……きっと、音で表現したら、こんな感じだろう。 心の中のもうひとりのあたしが、立ちあがれないくらいに、落ち込んでいた。 入口に近づくと、中では、今しがた到着したであろうみんなが、コートを脱いでいるのが見えた。 混雑を避けるために、あたしは、外でコートを脱ぐと、腕に掛けた。 「綺麗だよ」 突然降ってきた誉め言葉に、ふと見上げると、拓にぃが、にっこり微笑んでいた。 きっと、幼なじみだからこそ、感じて、見抜いた、あたしの胸の内。 これが、拓にぃのさりげない気遣い。 「……ありがとう」 あたしは、小さくお礼を言った。
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