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「ところで、璃子ちゃん見てくれたかな?某有名ビジネス誌に特集された、俺の勇姿」
「あっ、はい。もちろん、拝見させていただきました」
「どうだった?」
「モデル顔負けのポージングと、最高の笑顔でしたよ。評判良ろしかったのではないですか?」
「やっぱり、璃子ちゃんは解ってるなぁ」
隼人さん、ごめんなさい。チョキチョキしちゃいました。
でも、保存用もありますから、許してください。
あたしは、心の中で、手を合わせて謝った。
「ダメよ璃子!あんなオジサンのビジネス誌で、カッコつけてどうするの?って、ちゃんと言ってくれないと」
冴子さんが、隼人さんの隣からツッコミを入れる。
テーブルに笑いが起きたが、誰も、和也さんの事には触れなかった。
きっとみんな、あたしに気を遣ってくれているんだろうな……
申し訳ない気持ちで、自然と伏し目がちになっていたものの、それもはじめのうちだけだった。
話題の豊富な皆さんは、次から次へと会話を紡ぎ、特に、優輝さんと更科さんと、冴子さんの同級生チームの会話は、見事な掛け合いを見せた。
気づけば、すっかり肩の力が抜けて、あたしは、自然と声を出して笑っていた。
すっかり寛ぎモードに入り、楽しく過ごしていると、入口の方で、黄色い歓声が上がった。
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