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「さて、そろそろ失礼させていただくよ。あとは、お若い方たちで、ごゆっくり」
ゲンさんは、そう言うと席を立った。
「お祖父様、ありがとうございました」
「薫、今夜は、楽しい時間をありがとう」
「お祖父様……」
「今度は、家族全員揃っての食事会も企画してみようかね?」
「はい。ぜひ、近々また催しますね」
「頼んだよ」
薫さんと会話を交わしながら、ゲンさんは、玄関へと向かった。
20時過ぎとは言え、12月の夜風は冷たい。
薫さんと和也さんとあたしは、お見送りに外へ出た。
「お祖父様、今夜は、ありがとうございました」
「いいや。あとは、ふたりの問題だ。ゆっくりふたりで話し合いながら、進んで行きなさい」
和也さんの言葉に、ゲンさんが答える。
「では、おやすみ」
薫さんと和也さんに挨拶をすると、ゲンさんは、あたしを見た。
「おやすみなさい、ゲンさん」
「おやすみ、璃子ちゃん。素敵なクリスマスを」
「ありがとうございます」
ゲンさんは、微笑みを残して、いつもの小道を時田さんと帰って行った。
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