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ゆっくりと屋敷への小道を歩きながら、夜空を見上げる。
夜空には、三日月が浮かんでいた。
「時田」
「はい、旦那様」
「お似合いのふたりだったな」
「はい。そうでございました」
「私は、かわいい友人に、素敵なクリスマスプレゼントを贈ることが出来ただろうか?」
「ええ。璃子さんだけではなく、和也様にとりましても、今夜は忘れられない夜になった事でしょう」
「そうか。なら、よかった。
今夜は、久しぶりに楽しい時間を過ごせたよ。
美千代も一緒だったら、さぞ喜んだことだろうね」
「旦那様……きっと、今宵は、美千代様から旦那様へのクリスマスプレゼントだったのやもしれません。
和也様と璃子さん、そして旦那様までも結びつけたのは、美千代様だったのですから……」
「……そうだね。すべては、美千代の仕業かもしれないね」
「はい。きっと……」
美千代に想いを寄せながら、見上げた夜空には、多くの輝く星たちが、今にも零れ落ちて来そうなほどに、瞬いていた。
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