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「あの日、岩崎社長から、ニューヨークに電話が入ったんだ。
璃子、キミが辞表を出したと……。
青木の常軌を逸した嫌がらせ……、俺そして、会社に迷惑をかけまいと、下したキミの決断、すべてに驚かされたよ。
渡グループと青木との確執には、キミだけは巻き込みたくなかったし、余計な心配はかけたくなかった。
だから璃子、キミには敢えて、何にも伝えない事にしていたんだけどね。
でも、結果、キミに一番辛い思いをさせてしまった……
自分の読みの甘さ、そばにいてやれない悔しさを痛感したよ。
このまま、璃子は俺の前からいなくなるかもしれない……
そう思った俺は、ここを紹介して欲しいと、岩崎社長にお願いしたんだ」
「……」
あたしは、和也さんの告白を、ジッとただ黙って聞いていた。
「すべては、俺のエゴだよ」
「……エゴ?」
「あぁ、どんなことがあっても、璃子を、離したくないっていう、俺の……エゴ」
和也さんの視線が、あたしの心を射抜く。
「他の誰にも……璃子を奪われたくなかった……」
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