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「璃子には、頭の中を整理して、一度リセットする環境と、時間が必要だと思ったんだ。
今までとは、180度違う環境の中で、この世に只ひとりの『桜井璃子』として、もう一度、俺を見つめ直して欲しかったんだ」
そうだったんだ……
そこまで考えて……
「まあ、姉さんはすぐに、気づいたみたいだけどね……」
あたしは何も知らずに……
薫さんに、和也さんへの想いを……
あたしは、冬空の下で、顔が火照ってしかたなかった。
「俺にとっても、大きな賭けだったんだよ。
そして、璃子は俺の想いに、しっかり応えてくれていた……」
和也さんの眼差しが、優しくあたしを、肯定してくれている。
「でも、驚いたのは、璃子だけじゃないよ。
祖父と、璃子が知り合うなんて事までは、さすがに、予想も期待もしてなかった。
ましてや、あんなに仲良くなってるなんて……
それこそ、俺にとっての、最大のサプライズだったよ」
和也さんは、軽く微笑みながら続けた。
「本当は、もっときちんと璃子と話をしてから、祖父に会わせるつもりだったけど……
急に、パーティーにも誘われて、いい意味ですっかり、予定が狂ってしまった。
……だけど、さっき、祖父に告げた気持ちは、紛れもない、俺の本当の気持ちなんだ」
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