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「滞りなく完了しました」
「ふーん、随分と淡白な報告だな?
もっとこう、刺激的な武勇伝を聞きたかったんだが?」
「フッ、そんな話はないよ」
「和也君、相変わらず釣れないね?」
まったく……、好奇心旺盛なヤツだ。
だが、いろいろと気を回してくれた事には、感謝しなくては。
プライベートでは、人に頼るなんて、絶対に嫌な俺だが、今回ばかりは、みんなの惜しみない協力が、本当に有難かった……
改めて、仲間の存在の大きさを痛感させられた……
「……皆のおかげで、本当に何もかも、うまくいったよ」
書類を見ながら、俺は、ガラじゃない素直な気持ちを漏らす。
「よかったな」
えっ!?
見れば、隼人が、珍しく真面目な表情に変わっていた。
「あぁ。ありがとう」
互いに、それ以上は言葉にしない。
だが、隼人の瞳からは、安堵の気持ちが読み取れた。
「じゃあ、これからも、しっかり頼むぞ」
軽く左手を挙げた隼人は、いつもの涼しげな微笑みを残して、扉を離れた。
やれやれ……隼人には、しばらく頭が上がらないな……
俺は資料に視線を戻しながら、そっと微笑んだ。
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