◇◇ 第51章 あなたのもとへ ◇◇

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******** 師走なんて、よく言ったもので、あっという間の数日が過ぎ、待ちに待った御用納めの日が来た。 『遅くなっても、迎えに行くよ』と言われてたけれど、やっぱり、少しでも早く和也さんに逢いたい。 あたしは、五十嵐邸からの帰りに、そのまま快速に飛び乗ろうと、お泊まりセットを準備して、出勤していた。 14時を過ぎた頃―― 年内最後となる発送商品の梱包作業を終え、玄関先に荷物を運ぶと、あたしは、「ふぅーっ」と一息ついた。 外の冷たい空気に当たりたくて、玄関先から、そのまま表に出る。 少し、火照った身体には、冷たい風が心地よかった。 本当に、色々あった一年だったなぁ……こういうのを波乱万丈!?っていうのかな。 23年の人生の中で、いちばん泣いて、苦しんで……そして最高に幸せな締めくくり…… 私も、少しは強くなれたかな?そして、大人の女性として成長出来たかな?和也さん…… 頭の中で、また『妄想列車』が走り出そうとした、その時。 「璃子ちゃーん!」 「はーい、ただ今!」 中から、薫さんの声が聞こえ、急いで屋敷の中へ戻った。 「璃子ちゃん、仕事納めお疲れさまでした。今日は、これであがっていいわよ」 「えっ!?」 予想外の言葉に、思わず驚きの声を上げた。
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