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「元気そうだったかな?」
「ええ。相変わらずのマイペースでしたけど」
「そうか、そうか。ハハハッ」
ゲンさんは、お父様の姿が目に浮かんだのだろう。
和也さんの言葉に、目を細め、声を上げて笑った。
「どうだい?話は、うまく進みそうかな?」
「はい、おかげさまで。
父も母も、璃子を大変気に入ってくださいました」
「それは良かった」
ゲンさんが、あたしにそっと微笑みを贈る。
瞳を合わせたあたしも、微笑みを浮かべると、小さく頷いた。
「それで、式は、いつ頃になりそうかな?」
「はい。璃子の誕生日の4月初旬に」
「そうか。4月か……いい季節だね」
「はい」
「その頃には、この桜も満開で、あのモッコウバラの小道も花が咲き乱れているだろうね」
ゲンさんは、咲き誇る花々を思い浮かべるように、遠い目をしていた。
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