愛する人

2/32
前へ
/32ページ
次へ
……私は木綿先輩を愛する。 今は辛くても……きっと時間が解決してくれる。 死んだ両親だって、私の幸せを願っているに違いない。 もう誰も恨まない。 誰かを恨んで憎まれて ……そういうこと、全てに疲れてしまったの。 そんなことを思って過ごしてきた数日。 私の顔に笑顔が戻りつつあった。 それは木綿先輩にも、香織にも言われたこと。 私には、笑顔の方が似合ってるんですって。 ……ガッシャン! 考えごとをしていた自分の掌から、落ちたお皿。 その音で、我に返った私。 グツグツグツ。 すぐ傍の……大きな鍋。 いい匂いを醸し出していて、食をそそられる。 今夜のメニューは、木綿先輩の大好きなオクラ入りカレーだ。 カレーと言えば、誰でも作れる定番メニュー。 子供も喜ぶ一品だ。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

99人が本棚に入れています
本棚に追加