【第26話】もうひとつの決着

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  急に怖くなってくる。 長瀬が一気に遠くなってしまうような……失ってしまうんじゃないかというような、恐怖だった。 咄嗟に身を隠したのは正解だった。 御園さんと長瀬が一緒にいるところに通りがかるなんて、絶対に嫌だ。 気にしないフリはおろか、上手くかわせる自信なんて微塵もない。 そっと様子を窺うと、御園さんが長瀬に駆け寄っていくのが見えた。 ただ、彼女の声の響きは、昨日の昼間にさんざん聞いたものとは全然違っていた。 「長瀬さん……私……もう、どうしていいのか……」 弱々しく、いまにも崩れ落ちてしまいそうな声。 これまで何度も目にしてきた御園さんの切り替えに、今まで以上に嫌悪感がわき上がってくる。 仕事のことならいくらでも耐えられたのに、今になってこんな風に思うのは、嫉妬から、だろうか。 .
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