【第26話】もうひとつの決着

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  知らず知らずのうちに缶を持つ手を握りしめていた私は、気付かれないようにそっと息を吐いて、その場を見守った。 立ち聞きなんて趣味が悪い、そう理解していても、足が床に貼り付いたように動けなかった。 「……御園さん? どうかしましたか?」 少し驚いたような長瀬の声がロビーに響く。 ああ、長瀬の声だ。 会社用の人当たりの良い響きだったけれど、それでも胸が熱くなってくる。 .
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