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翌朝、私は部屋でいつも通りに出社準備をしていた。
打ち合わせの予定もないし、ただ会社で仕事するだけなのに、妙に気合いが入る。
長瀬に会える……それだけのことなのにな、と思うと自分が可笑しい。
朝食をとって身支度を済ませて、鏡の前でピアスを装着する。
あの日以来一度も付けて出たことのなかった、プラネタリウムで長瀬にもらったピアス。
耳元で揺れる小さな夜空が、何か、力をくれるような気がして、自分を勇気づけるためにそれを選んだ。
支度を終えて外に出ると、空は晴れ渡っていた。
久しぶりの青空に、何となく、笑みがこぼれる。
長瀬が帰社するのは夕方以降のはず。
それまでに仕事を片付けて、少しだけでも時間を取ってもらおう。
そしたらちゃんと、謝ろう。
これまで通りの距離感に戻りたいから。
いつまでもこのままじゃ、辛いから。
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