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しかし、予定の時刻を過ぎても、長瀬は帰ってはこなかった。
私はとうに自分の仕事を片付けていて、ただ長瀬を待っている状態だ。
まだ仕事をしている人もいるオフィスで、することがないのにここにいるのも忍びない。
私は諦めて、席を立った。
「お疲れさまです」
そう言って、オフィスを後にする。
エレベーターの中で、溜息を吐いた。
今日なら、少しは、素直になれそうな気がした。
長瀬がどんな顔をしても、受け止められそうな気がした。
……“今日”にこだわったのは、そんな自分勝手な理由だ。
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