【第26話】もうひとつの決着

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  しかし、予定の時刻を過ぎても、長瀬は帰ってはこなかった。 私はとうに自分の仕事を片付けていて、ただ長瀬を待っている状態だ。 まだ仕事をしている人もいるオフィスで、することがないのにここにいるのも忍びない。 私は諦めて、席を立った。 「お疲れさまです」 そう言って、オフィスを後にする。 エレベーターの中で、溜息を吐いた。 今日なら、少しは、素直になれそうな気がした。 長瀬がどんな顔をしても、受け止められそうな気がした。 ……“今日”にこだわったのは、そんな自分勝手な理由だ。 .
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