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なにも言わずに、
フワリ。
目の前のヒトのコートの中に、
入れられた。
キッ。
車の止まる音が聞こえた。
グッ。
腰に手を回されて、歩かされる。
逃げ出そうと思わないのは、なぜだろ?
理由を見つけようと、
見上げても、今は、コートの内側しか見えない…
高級そうなコート。
ってことしか、わからない…
車に乗せられて、
バタン。
ドアが閉まった。
?
あれ?
私の身体に、
隣のヒトの、両腕の感触。
なのに、
閉まった車のドア…
日本のタクシーならわかるけど、
ココは、パリ。
そんなタクシー、ない。はず。
バタン。
もう一度、ドアの音。
あっ。
運転手さんが、ドア閉めてくれたんだ。
すごい、
運転手さん付きの、高級そうな車。
こんな車、初めて乗った。
車がゆっくりと走り出す感触。
加速感を感じ始めた頃、
ようやく、コートの内側の景色から、解放された。
柔かな笑顔。
それよりも、
広い車内に驚く。
車には詳しくはないのだけれど、
リムジン。
という乗り物なのかしら?
シート、フカフカ。
初めての感触。
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