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音のした方に、視線を向ける。
メイドさんじゃないとしたら、マネージャーさん。よね。
姿は、見えなくなっていた。
出ていったの?
ううん。
ドアの音はしなかったし、
なにより、
さっきの音。
ドコ?
?
不自然なスカートのシワ…に気づく。
クローゼット前で姿現しておいて、
なんで隠れるの?
不思議なヒト。
やっぱり、悪いヒトじゃない。
私のカンを信じよう。
スカートの向こうを覗こうとしたら、
「Mon maitre…」
目の前のメイドさんから、呟くような声。
ご主人さま?
マネージャーのこと、
『ご主人さま。』
って、ヘンじゃない?
「日本語で話しなさい。」
やっぱりこのメイドさん、日本人?
疑問は声にならない…
スカートの後ろで、立ち上がりながら、聞こえた声は、
少し、冷たい気がしたから。
私のカンは、あてにならないのかな…
湖色の瞳に、私が映り込んだ。
途端に、
柔らかい声が、響いた。
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