ーー1日目ーー

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匂いに囚われながら、 記憶の端っこを、捕まえようとするけれど、 銀の髪が目に入ると、 やっぱり、知らない。 その思いに、囚われる。 『あなた、ナニモノ?』 湖色の瞳に、目でモノ言ってみた。 通じない。 まぁ、 そうよね。 でも、このヒト、さっきから、 日本語、話してるんだから、 日本語、通じるはず。 言ってみよう! 「あ「では、こちらの服に着替えてくださいね。 一緒に食事をしましょう。」 私の言いかけたことは、かき消されて、 質問は受け付けません。 という雰囲気で、背中を向けたヒト。 ドアに向かって歩きだし、 パタン。 ドアの向こうに消えて行った。 言いかけたコトは、 私の頭からも追い出されて、 着替えて食事? の疑問に支配される。 えっ? 食事をするのに、着替えなくちゃいけないの? このスーツじゃ、 ダメ。 なの? そりゃ、 オーダーメイドスーツじゃないけど、 私としては、 パリ出張用に奮発して買ったモノ。 確かに、 眠っちゃって、少しシワになってるけど… 食事出来ないレベルじゃないと、思うんだけど… メイドさんが持ってる、 ベビーピンクのドレスに視線を向けた… アレに、着替えろと? ムリ。 似合わない。
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