white room

4/69
前へ
/605ページ
次へ
都心から特急電車で20分、車窓から見える景色が高層ビルから長閑な住宅地に変わってきたところ。 地元の駅とあまりかわり映えのしないような光景。そんな街がこれから私の住む街になる。   「東京に行きたい」   いつ頃からだっただろう。漠然と考えるようになったのは。 唯一の相談相手は東京の大学に進んだ2つ違いのお兄ちゃんだった。 私と違って、優等生のお兄ちゃん、両親の自慢の息子だ。   「来たいんだったら来てみたらいいよ」   お兄ちゃんはあっさりしていた。 「俺と一緒に住んだらいい」   え?いいの?引越し先についてはどうしたらいいものかと頭を抱えていたけれど、お兄ちゃんの一言で一蹴された。
/605ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加