97人が本棚に入れています
本棚に追加
とんだうっかりさんだなぁと自分に呆れる。
ドアノブにケーキの入った袋を引っ掛けて、今日は帰ろうと思った時、コートのポケットに入れた携帯が鳴った。
「カヲルさん、今どこにいるの?」
諭からだった。どうやら外にいるみたいだ。行き交う車の音が電話越しに聞こえる。
「今ね、諭のアパートまで来たんだけど、合鍵忘れちゃって・・・」
「え?そっちにいるの?」
諭にしては珍しく驚いた声を上げた。
「ちょっと待っててもらえる?すぐ帰るから」
慌てた様子の諭はそう言ったまま電話を切った。帰るに帰れなくなり、部屋の扉に寄りかかり、諭が帰って来るのを待った。
最初のコメントを投稿しよう!