バラとチョコレート

27/33
前へ
/605ページ
次へ
暫らくすると、ブオンブオンをバイク音がし、アパートの前にバイクが止まった。   「諭!」   バイクに跨ったままの諭に駆け寄ると、諭が私にメットを差し出した。   「よかった。カヲルさん家に向かうところだった。後ろに乗って、ちょっと連れて行きたい所があるんだ」   うんと頷き、メットをかぶると諭は自分のマフラーを外し、私の寒そうな首元にくるりと巻いた。   「合鍵忘れるって、ドジだなぁ、カヲルさんは」ふっと笑う諭に、恥ずかしくなり、私は何も言わずに諭の後ろに跨った。   「ちょっと飛ばすからしっかり捕まってて」   ウエストに手を回すと、諭はそれを合図にバイクを走らせた。
/605ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加