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住宅地を抜けると辺りは急に暗くなった。カーブの多い山道をバイクは走る。
目が回りそうなくらいぐるぐると回って、ちょっと酔いそうかもと思い始めた時に急に視界が開けた場所に出た。
「着いたよ」
そう言われて、メットを外し、バイクを下りた。
「うわぁ」
眼下に広がるシャンパンゴールドの光の粒に思わず声を上げた。山頂近くの駐車場の下には夜景が広がっていた。
「ここって結構穴場なんだ。人もいないし。今日はクリスマスだから夜更かししている家が多いみたいで助かった」
後ろから諭の声がした。
「都会の夜は明るくて、空を仰いでも星は見えにくいけど、ここに広がる夜景を見ると俺たちが空の上から天の川を見下ろしているような気分になる」
1つ1つの明かりが星のようだと諭は言った。
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