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「12本のバラを大切な人に贈ると幸せになるんだって。俺って口下手だし、年下だし、きっとカヲルさんにとっては頼りない男だって自信なくて、クリスマスなのに彼女に宝石を贈るお金もないし・・・」
でもと諭は続ける。
「でもカヲルさんにはずっと傍にいてほしくて、俺が一人前になって、いつか自分の店を持ったら、カヲルさんにはそこでチョコレートのお菓子を作ってもらいたいワケ・・・です」
照れながらたどたどしく、言葉を選ぶ諭にじんわりと胸が温まっていくのが解った。
嬉しかった。一生懸命に思いを伝えようとしてくれていることが、彼の描く未来の中に私も存在していることが。愛しくて、諭をぎゅっと抱きしめた。
「ありがとう。宝石ならたくさん貰った。ここから見える1つ1つの光の粒が私には宝石に見えるの」
諭はふっと息を吐くと、私をぎゅっと抱きしめた。諭の冷たい鼻先がマフラーから覗いた首筋に当たる。
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