バラとチョコレート

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「本当、口だけは達者なんだから・・・」   ぶつぶつと文句を言いながら、鍵を開ける諭の間をすり抜けて少年は、「寒かったよ~」といの一番に部屋に上がっていった。   「ごめん、カヲルさんの前に現われたあの子は俺の甥なんだ。全く、何でよりによって今日来るんだ・・・」   2人きりのせっかくの夜がと肩を落とす諭に笑いかけた。   「いいじゃない。彼のおかげでダズンローズ作戦は大成功だったし」   きっといつか過去を振り返った時、今日の日が懐かしい笑い話になるよ。だって、諭の隣にはずっと私がいるんだから。   諭はそれもそうだねと納得すると、「じゃあ、せっかくだからケーキを食べようか?金次にほとんど食べられちゃったけど」とふっと優しく笑った。   暗い部屋に明かりが灯った。   街に広がるシャンパンゴールドに輝く宝石が1つ増えた。 (バラとチョコレート*FIN)
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