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金次くんの明るい声が続く。
「うん、こっちも片付いた」
奈々は立ち上がると汚れた水の入ったバケツを持って、バスルームへと向かった。
鳩羽さんが知り合いから借りてきたトラックに奈々の荷物を運びきると、玄関先で奈々の門出を祝う。
「これ、せっかくだから、奈々のカラーの食器、記念に持ってって」
サンゴちゃんが藤色の食器を小さめのダンボールを奈々に渡した。
「あんたの憎まれ口が聞けないと思うと寂しいわ」とサンゴちゃんは小さなダンボールごと奈々を抱きしめた。
「やめてよ、一生の別れじゃないんだから」と返すものの、奈々はちょっと涙目になっていた。
「ね、虎ちゃん、たまに遊びに来てもいい?」
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