white room

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「寮は2人で1つの部屋だったから、プライベートな時間が欲しい時には困ったよ。その点、今の家は1人一部屋だし、仲間がいるから寂しくないし、花にとってもいい環境だと思うんだ」   知り合いがお兄ちゃんしかいない東京で、友達が増えることは確かにありがたい。   ファーストフード店を通り過ぎると目の前にバス停が立っている。   「このバスにずっと乗ってると都心まで出られるよ。このバス停を目印にして、左に曲がるんだ」   角を曲がると庭付きの家が並ぶ通りに出た。 幼稚園を通り過ぎたところで車を確認して道を渡った。 甘いけれど爽やかな香りが鼻腔をつく。 「ここだ」   見上げると、お兄ちゃんが振り返った先、今日から住む家がそこにあった。
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