1326人が本棚に入れています
本棚に追加
/600ページ
高校二年の夏……。
それは部活を頑張ってる者なら誰しもが汗を滝のように流し、己の実力を高める為には夏休みだって犠牲にする。
そんな大切な時期に、一人の少年は部活で使っていたシューズを履いたまま下校している最中であり、その表情はとても暗い。
その理由は彼の所属する部活動の部員が他の部活の生徒と些細な訳で喧嘩をしてしまい、半年の休部命令が出されてしまったためだった。
これまで部活一筋で頑張ってきた少年にとって、それは生活の全てを変えてしまう大事件である。
はぁ……これから何をすればいいんだろうか。
今頃他の生徒は部活をやっている時間帯だが、俺は事実上の帰宅部となってしまった。
家に帰ったところで俺以外の家族がいるという事でもないので、本当に何をしたらよいのかが分からない。
母親は俺が幼いときに亡くなり、父親も単身赴任で今は海外かどこかで暮らしているに違いない。
俺としては部活に専念したいという理由でここに残ったのだが……。
「このままじゃまずいよな……」
もちろん家に帰れば洗濯物や料理も自分でやらなければならないが、一人分だけならさほど苦痛ではない。
なので部活をやらなくなった今、時間を有意義に過ごす方法を失ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう！