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お互いの顔が残り僅でぶつかる。
というところでカシャっという機械音が聞こえ、その瞬間にようやく金縛りが解け俺はイスから転げ落ちるようにして笹原さんから距離を取ったのだが……。
「ふふっ。我ながら良い写真が撮れて満足です。さて、それじゃあ舞さん達が来る前に……私と大切な取引の話をしましょうか」
もはやそこには俺と楽しく談笑していた笹原さんの姿はなく、手に握られている携帯には角度の問題で俺と笹原さんがキスをしているようにしか見えない写真が写っていた。
「今すぐその写真は消してもらえるんですよね?」
「それは上谷さんの返答次第になりますね。言っておきますがこの写真は自動で私のパソコンの方にも送られています。嘘だと思うならどうぞ強引に私から携帯を奪ってください」
その余裕の残る表情からは嘘か本当かは判断できないが、俺が強引に奪いに行ったところで笹原さんが叫べば俺の人生もろとも終了するだろう。
舞と同類……まさかあれが本当だと誰が分かるだろうか。
今更後悔しても仕方がないのだが、どうやら俺はずっと笹原さんに騙されていたと嫌でも気付かされる。
「冷静で結構です。では取引の方ですが、恐らく舞さん達が来たら私はすぐに部屋から追い出されてしまうでしょう。そこで上谷さんにはそれを阻止してもらい……私を新メンバーとしてグループに入れるのを推薦してください」
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