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あまりにも非現実的な要望に胃が痛くなるが、笹原さんはどうやら一つ勘違いをしている。
「俺を利用して何か企んでたのかは知りませんけど、舞はそんな理由で新メンバーを選んだりはしませんよ。それにたかがバイトである俺の意見なんて絶対に通りません」
今ならまだ悪ふざけで済むが、これ以上はさすがに冗談では済まされない領域に入ってしまう。
しかし笹原さんの瞳は揺らぐどころか更に強いものになり、自分の座っていた席へと再び戻った。
「果たしてそうでしょうか?私の予想では貴方の意見はかなり力があると思いますよ。許可まではいかなくても、保留には必ず出来るはずです」
笹原さんは余程の自信があるようで、口にはできないが確かに本気で頼めば様子を見るくらいまでは説得できるかもしれない。
だが……それで俺に何のメリットがあるのだろうか。
写真を撮られたのは俺の不注意だが、舞たちに見せたところで袋叩きくらいで終わる話じゃないのか?
そんな風に思っていた俺だが、笹原さんの言葉でやっと自分の立場というのを知らしめられる事になる。
「それと上谷さんこそ何か勘違いしているかもしれませんが、この写真を見せる相手は舞さん達なんかではなく……雑誌や新聞。スクープに飢えたテレビ記者なんかに売るのもいいですね」
「冗談……ですよね?」
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