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「なんか運命の使い方おかしくないですか!?」
運命というのはもっと奇跡的な事を言うと思うが、この女性が言う運命は……ただの脅しだった。
しかもこの時間帯に街を歩いているのは主婦が多く、もし叫ばれれば俺の無罪は主張する前に消されるだろう。
なんで俺がこんな目に……。
割りと本気で泣けてくるが、この人に出会ってしまったのが俺の運の尽きなのかもしれない。
「とりあえず走りながら道は教えますけど、それで捕まっても俺のせいにしないでくださいよ!」
そう言って俺は商店街の脇道へと逃げ込み、その後ろから自信に満ち溢れた様子の女性が訊ねてきた。
「やっぱりあなた運動系の部活か何かやってるでしょう?」
ようやく女性が俺に声を掛けてきた理由が全て出揃った気がするな。
なぜか分からないけど、この人は誰かに追われてて、一人では逃げ切れないと悟ったのか……。
そんなところに暇で道を知ってて、更に運動やってそうな俺が見つかったというところだろう。
まさに最悪の出会いだが、こうして共に逃げてしまっては完全に俺も共犯になってしまった。
「はぁ……なんでこんな形でアップしなくちゃいけないんだろ」
「ふふっ。それでも協力してくれたことは感謝してるから、後は逃がしてもらえれば報酬ゲットよ?」
そんな会話をしながら裏道をくねくねと逃げ続けていたが、意外にも女性の体力はかなりあるようで、まだほとんど息を切らせていない。
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