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「昨日までは経理部みんなで出てたでしょ?俺、池口と仲いいんだよね。俺が今日、部長に用があるって言ったら、11時過ぎならいるってさ。君のことは何も言ってなかったけど、普段から多忙な君のことだし。もしかしたら居るかもなって、山張っただけ。」
「…部長なら…池口さんが言った通り11時過ぎないと、おみえになりませんよ。」
私はよくわからなかった。
池口さんに聞いたはずなのに…
…もう来ちゃってるし。
「…いいの。部長に用なんてないし。今なら君が一人ってわかったから来たんだよ。」
「…え?」
「俺は君に用事があるの。」
「…ねぇ、今このフロア、俺たちの他に誰もいないよ。」
そう言った成瀬さんの顔には、さっきよりも気味の悪い笑顔が張り付いていた。
その笑みに一瞬身震いした。
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