苦手なヒト

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室井の他に男が一人。 俺は男より室井が気になった。 「…室井…。」 しかし、室井を見た瞬間、最悪な事態だと悟った。 彼女は壁に寄り掛かるように力なく立っていた。 顔は青白く、目には今にも溢れんばかりに涙を溜めて。 いつもきれいに結ばれた髪の毛は乱れていた。 「…貴様…彼女に何をした…。」 自分でも驚くほど低い声が出た。 俺は未だその場から動けない室井のそばまで行くと、彼女を背中側にして立ち、男から遮った。 「…おまえ…営業の成瀬だな?」
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