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部長の顔を見た瞬間、ホッとしてカラダがぐらついた。
すぐに部長に駆け寄りたかったけど、力が抜けて動けなかった。
それがわかったのかすぐに部長がそばに来てくれて、私を成瀬さんから隠すように大きな背中の陰にした。
もちろん、部長も成瀬さんを知ってる。
私たち3人は一時期営業部で一緒に過ごしたから。
部長が私の姿を見たとき、一瞬すごく辛そうな顔をした。
私はそれが辛かった。
部長は成瀬さんに向かい、恐ろしく冷たい声で問いただした。
「…貴様……彼女に何をした…。」
私でさえ、その言葉に身が縮むようだったのに、当の成瀬さんは相変わらずというより、むしろ部長を挑発してるようにも見えた。
埒(ラチ)が明かないとふんだのか、部長は成瀬さんに出て行くように言ったけれど、成瀬さんはまた挑発的な言葉を放つ。
「…部長こそ…いやらしいことしないで下さいよ。」
それを聞いて我慢ならなかったのか、部長が一歩足を踏み出した時。
…我慢出来なかったのは私の方だった。
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