2793人が本棚に入れています
本棚に追加
私は早速マップをとり、はやる気持ちで部長に言う。
「部長!どこから行きましょうか?」
その瞬間、近くにいたカップルと女の子の二人組が私たちを振り返り、すぐに顔を戻してなにやらヒソヒソ声を潜(ヒソ)めた。
…何かしたかな?
すると、部長が私を引き寄せた。
「まったく…。さっき名前で呼べと言ったはずだ。こんなところで上司と部下が買い物なんて、下手したら変に誤解されるぞ。」
変な…誤解!?
上司と部下の変な関係……不倫とか?
ふ、不倫っ!?
私は一人顔を赤らめながら慌てる。
「そんなっ…。私たちは清らかなお付き合いを…。」
「ハハッ。確かに今は清らかなだな。」
部長が笑う。
「ちゃんと名前で呼べ。清らかなお付き合いなんだから。」
部長はまだ笑ってる。
「俺の物は後からでいい。ゆいは買いたいものたくさんあるんだろ?好きなように行け。」
確かに…買いたいものがたくさん。
……え…!!
"ゆい"
今、部長、"ゆい"って言った!?
しかも、さらっと自然に言ってなかった?
私はまた一人、顔を燃やしながらも、部長を退屈させないように、せめててきぱき行動しなくちゃと気合を入れた。
「じゃあ、このお店行きたいです。」
マップで確認して、お店巡りが始まった。
最初のコメントを投稿しよう!