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店を出ると、ベンチで部長が待っていた。
部長は私の紙袋を見ながらあの笑顔。
「いいの買えたか?刺激的なの。」
「…普通のを買いました。」
「ふーん。楽しみだな。」
部長の顔がにやける。
…楽しみって…。
部長がどんどん部長らしくなく感じるのは…
…気のせいだろうか。
「…これで買い物終了です。」
「じゃあ、行こうか。」
二人で駐車場に向かう途中、部長が一軒の店に入っていった。
ここは、有名な料理研究家がプロデュースしているお店で、食器などを扱っている。
「わあ、素敵ー!」
食器や調理道具、エプロンもデザインが素敵!
で、部長はというと…
…箸(ハシ)を選んでいるみたい。
「部長、箸ですか?」
「ん。ゆいの家と俺んとこに置いとこうと思ってな。俺たちの箸。ゆいのとこは食器たくさんあるけど、俺のとこにもご飯茶碗くらい用意しとかなきゃな。」
そう言って部長はおそろいの箸を二組手に取っている。
私の顔が熱をもつ。
…そんなこと…ホントにさらっと言っちゃうんだから。
「…素敵な箸ですね。…嬉しいです。」
部長はご飯茶碗も選んでレジに向かった。
その間、私はお店の中を見回していた。
私は部長が選んでくれることが嬉しくて、口出しはしなかった。
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