嵐の予感

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部長は自分でコーヒーを入れ始めていた。 私が花の続きを終わらせて、ロビーに行って来ると伝える。 「抱きしめて充電したいけど…我慢だな。」 部長は私の頭に手をおいて、撫でるようにしてから離した。 「先に事務所に行ってる。」 そう言って部長が先にドアの外に出た。 …私の方は部長に少し触れられただけで…十分、充電出来た。 その証拠に体が熱いもん。 部長と私は会社では、つまり…、あの…、そういうことはしないって、暗黙の了解みたいに決めていたのかもしれない。 会社では上司と部下の関係を崩したくない。 そんな価値観が一緒なところも、すごく嬉しかった。 私は花を運び、始業の準備を済ませた。
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