嵐の予感

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「…嵐が去ったって感じですね。」 今まで黙っていた琴ちゃんが、ため息混じりに言う。 それに続けて声のトーンを抑えながら付け足した。 「勝野課長、部長と親しげでしたよね?"西島くん!"だって。あれは絶対、部長のこと狙ってますね。」 やっぱり…そうかな? 「しかも、あの服装。やっぱあんなにナイスバディだと、見せたくなっちゃうんですかね?ある意味うらやましいけど。」 「勝野課長のカッコはすごいけど、男は案外ああいうのには興味ないんだよ。逆に…室井さんみたいにキッチリした服装してるほうが、脱がしてみたくなるって言うか…。」 「げ!!池口さんいやらしい!」 「例えだよ!見えてるもんより、隠れてるもんの方が見たくなるの!」 私は二人のやり取りを聞いているようで、聞いてなくて、 「…そうだね。」 なんて、的外れな相槌を打っていることにも気づかない。 そこへ受付から呼び出しがあり、席を外す事ができた。 あの会話… 部長は否定したけど、勝野課長の方は親しい関係だと思ってる。 部長と勝野課長って……。 会社で、仕事以外のことで悩むなんて嫌だった。 ロビーに着くまでに気持ちを切り替えたかった。
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