嵐の予感

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「おはようございます。」 誰もいない事務所にあいさつ。 昨日あれから買い物ついでに用意した花を持って、早目の出勤をした。 いつもは会社の近くの花屋さんで買うけれど、今日は朝からロビーに花があった方が気持ちがいいから、昨日の買い物ついでに買っておいた。 給湯室で花を生けていると、給湯室のドアをノックして、部長が入ってきた。 「おはよう。」 「おはようございます。」 私は花を生けながら部長が来てくれることを少しだけ期待してたから、うれしくて…もしかしてすごい笑顔だったかもしれない。 「…やっぱ早く来て得した。朝からそんな顔見られたから。」 その言葉に耳まで赤くなるのを感じ、一度部長から視線をずらした。 …ん!? 再び部長を見る。 「…部長…ネクタイ!」 部長は私が選んだ黒猫のネクタイをしている。 それを見てなぜか、全身が熱くなる。 自分が選んだもの身に付けてくれるって、こんな気持ち? 「似合うか?」 「かわいい。です。」 「俺が?」 「…ネクタイ効果で可愛く見えます。」 「それはいい。」 部長は笑って 「俺も可愛くなったら、モテるかな。」 え!? 「そんなっ…!モテちゃダメです。」 部長はクスクス笑う。 「ネクタイ効果、最高だな。」 …なにが、最高? …部長、ホント、モテちゃダメ。 今だってモテるんでしょう?
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