恋人

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キッチンに入ると、ふと思い出した。 …そうだ…エプロン。 そう言えば…私の荷物は? 「…私の荷物、下ろしましたっけ?」 「すまない。食料品が意外に多くて、もう一度取りに行くつもりだったんだ。日用品の類(タグ)いもまだ車だ。取って来るから始めてろ。」 「わかりました。すみません。それから、前にエプロンありがとうございました。今日、ちゃんと持って来ましたよ。」 「…エプロンまで持って来たのか?エプロンならそこに用意してある。じゃ、始めてろよ。早く食べたいんだから。」 部長は出て行った。 部長が視線で示したところを見ると、本当にエプロンがあった。 これって…あのお店のだ。 部長、あの時もう一枚エプロン買ってたんだ。 …私がここで使うために? 私はエプロンを着けた。 …かわいい。 私の家用のモノクロとは違って、赤のチェック柄。胸元と裾に同じ生地でフリルが付いてて、ポケットからは黒猫が顔を出してる。 …また黒猫だ。 私は部長のネクタイを思い浮かべ、一人にやけながら調理を開始した。
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