恋人

17/39

3620人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
じゃあ… 部長にとって肉親と言えるのは…美月さんだけ…。 私は自分とはあまりに違う部長の家庭環境に驚きながらも、さっきの私の無神経な質問を悔やんでいた。 「…ごめんなさい。無神経なこと言ってしまって…。」 「謝なくていい。ただ、誕生日を祝ってもらって、久しぶりに誕生日も悪くないって思えたよ。毎年ただ歳をとるだけだったのに、これからゆいが祝ってくれるなら誕生日が楽しみだ。」 私の目に涙が滲(ニジ)んだ。 これからずっと、私がそばにいていいのなら…部長の誕生日をずっと一緒にお祝いしてあげる。 「…ケーキ!ケーキ食べましょう!」 私は冷蔵庫にケーキを取りに行き、ロウソクを立ててテーブルに置いた。 部長に火をお願いして、照明を落とす。 「…誕生日。おめでとうございます。」 私は今まで食事をしていた席から、部長のすぐ隣に移り、部長に言った。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3620人が本棚に入れています
本棚に追加