恋人

3/39

3620人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「…ゆいの?」 …私の言葉を待っている。 「…彼…氏…ですから。」 部長は隣で満足そうに笑った。 私は負けまいと、今度は攻撃に転ずる。 「それより…誕生日は?…秀一さんの誕生日、教えてもらえるんですか?」 「ああ、"今日"なんだ。」 へ? え? "今日"!? 「え、あの、え…どうしよう…私、何も用意してなくて…。」 ああ、またパニック。 本当にどうして今まで教えてくれなかったの!? 「…こうなると思った。用意なんて何もいらない。」 慌てる私をよそに落ち着いた口調で部長が言った。 「…そんな。誕生日なら一緒にお祝いしたいのに…。」 「もちろん、ゆいには祝ってもらいたい。特別なプレゼントでな。」 あ、またこの顔。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3620人が本棚に入れています
本棚に追加