恋人

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午後になっても私の気持ちは沈んだままだったけれど、そんな気持ちに浸れないくらいの忙しさが私をなんとかもたせていた。 定時になり、休憩時間になると琴ちゃんが話しかけてくる。 「ゆい先輩、大丈夫ですか?お昼から具合、あまりよくないんじゃないですか?」 「え、そうだったの?大丈夫?今日は帰ったら?」 池口さんも心配してくれる。 部長にも聞こえたはずだ。 「…大丈夫です。すみません。心配してもらって。」 「…室井くん、そうなのか?だったら今日は帰った方がいい。」 「…そんな、ホントに大丈夫ですよ。」 言いながら部長を見ると、胸の奥がギュッと縮まるみたいに痛い。 「大丈夫じゃないですよ!お昼だって全然食べてなかったし。」 「…そうなのか?」 部長が顔を曇らせて言う。 具合は悪くなかったはずなのに、なんだか薄っすら頭痛がする。 今日は…早く帰ろうかな。 「じゃあ、一時間やって、琴ちゃんが出る時に私も一緒に帰ります。」 それでみんなも納得してくれて、私はその通りの時刻に会社を出た。 一人になると、部長に知られたら…という恐怖がまた襲ってくる。 夜遅く、部長から大丈夫かと電話が来た。 大丈夫だと答えたけれど、私の心は大丈夫じゃなかった。 知られる前に話してしまえばいいのかな。 そう思いながら二、三日はあっという間に過ぎてしまった。 気付けば明日は金曜日。 事態は一番なって欲しくない展開に… …なってしまうのだった。
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