恋人

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部長と進行方向を変えようとすると、私の視界に小さな花屋さんが入り込んだ。 「秀一さん。少し待っててください。」 私は部長から離れて花屋さんに入る。 …誕生日だもん。 せめて、お花くらい飾りたい。 会計を済ませて部長のもとへ戻る。 「…花か?」 「はい。せめて花くらいプレゼントしたいです。あ、あとケーキも。」 「…プレゼントならもらうって言ってるだろ?」 そこまで言うと部長は急に私に近付き、耳元で続ける。 「…俺の今一番欲しいものだ。」 部長の息のかかる耳からまた熱をもつ私の顔。 私は目を泳がせる。 「…つ、次はケーキです!」 つかつかと部長の前を歩きだした。
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