3620人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
ケーキはショッピングセンターを一度出て、部長のおすすめのお店で買うことにして、立ち寄った。
「すごーい!」
「きれー!」
「全部おいしそー!」
「全部食べたーい!」
「…全部は無理だ。」
…しまった。
…つい。
しかも、部長の誕生日なんだから…部長のためなのに。
「食べられるだけいいぞ。」
部長は肩を震わして笑っていた。
「俺はショートケーキ。」
…ショートケーキ?
部長がケーキの名前を言っただけなのに……かわいい。
「何、笑ってる?」
「…いえ、なんでもないです。私も秀一さんと同じにします。」
「一つでいいのか?」
私は頷いた。
…部長の前でそんなに食べられないよ。
「あ、秀一さん!ケーキは私が出します!」
私は部長を押し退けて、レジに向かった。
レジの横に陳列されていたカラフルなロウソクも買った。
「…帰るぞ。」
運転席で部長が言う。
…帰る……。
部長の家に…ね。
「…はい。お願いします。」
部長は小さく笑って私を見た後、車をゆっくりと発進させた。
最初のコメントを投稿しよう!