恋人

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ケーキはショッピングセンターを一度出て、部長のおすすめのお店で買うことにして、立ち寄った。 「すごーい!」 「きれー!」 「全部おいしそー!」 「全部食べたーい!」 「…全部は無理だ。」 …しまった。 …つい。 しかも、部長の誕生日なんだから…部長のためなのに。 「食べられるだけいいぞ。」 部長は肩を震わして笑っていた。 「俺はショートケーキ。」 …ショートケーキ? 部長がケーキの名前を言っただけなのに……かわいい。 「何、笑ってる?」 「…いえ、なんでもないです。私も秀一さんと同じにします。」 「一つでいいのか?」 私は頷いた。 …部長の前でそんなに食べられないよ。 「あ、秀一さん!ケーキは私が出します!」 私は部長を押し退けて、レジに向かった。 レジの横に陳列されていたカラフルなロウソクも買った。 「…帰るぞ。」 運転席で部長が言う。 …帰る……。 部長の家に…ね。 「…はい。お願いします。」 部長は小さく笑って私を見た後、車をゆっくりと発進させた。
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