恋人

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部長の家は予想通り…と言うより、予想以上。間違いなく高級マンションだった。 エントランスに入るゲートを部長が一瞬で開けたので何をしたのか聞くと、指紋認証での開閉らしい。 私は驚いたけど足を踏み入れたエントランスの方が綺麗で、オブジェやソファ、受付カウンターなど、ホテルと思うくらいだった。 二人で何とか荷物を抱え、エレベーターに乗るとボタンは23階まで表示されていた。部長は18のボタンを押した。 部長が玄関の鍵を開けている間、心拍数が少し上がる。 「…お邪魔します。」 部長が先に入った後、小さく言いながら私も中に入った。 部長を追って廊下を進む。 うわぁー! 広くて、きれい! 部屋の壁は白く、家具や小物は黒で統一されている。余分な物は一切なく、逆に何も置いてないのが部屋をいっそう広く見せていた。 「…素敵ですね。スッキリしてて綺麗です。」 「言い換えれば、何もなくて生活感ゼロだろ?」 「…そんなっ、違います。」 少しは思っちゃったけど…。 「惚れた女が、初めて上がるんだ。俺だって少しくらい掃除する。」 そう言いながら荷物をキッチンにまとめる。 …部長が私のために掃除…。 私はそんな部長の姿を想像して顔を緩ませながら、買って来た物を仕分け始めた。
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