不安

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私の気持ちなんかお構いなしに、成瀬さんはいつも通りに話しかけてくる。 「室井さん!?…ってか、どうしたの?ずぶ濡れじゃん!?」 「………。」 私が返事をしないでいると成瀬さんが一歩近寄る。 「…髪までこんなに…。」 成瀬さんが私の髪に触れそうになった時、私は言葉を発せず、反射的に目をギュッと閉じて顔を背けた。 「彼女に触るな。」 成瀬さんの向こうから部長の低い声がそれを制した。 部長は大股で私の前に移動して、成瀬さんから私を遮る。 「…触るなって…まるで自分のものみたいな言い方するんですね。」 成瀬さんは前回と同様、挑発的なものの言い方をする。 部長は一瞬言葉に詰まったけれど、次にはハッキリと言った。 「"みたい"じゃない。俺のものだ。」 ……部長…!? 私も驚いたけど、成瀬さんも驚いてるようだった。 「…マジで言ってるんですか?」 「おまえに冗談は言わない。」 「…マジで?マジで自分のものにしたってことですか?」 部長は答えなかった。 私は二人のやり取りを黙って見ていた。 …怖かった。 鼓動が早まり、体の震えもただ濡れているから…だけではなかった。
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