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部長はそれ以上、成瀬さんには何も言わずに私を見た。
「…ゆい。行こう。」
部長は成瀬さんの前で私を"ゆい"と呼んだ。
私たちはエレベーターに向かった。
部長は何も言わなかった。
二人きりのエレベーター内。
静か過ぎて、いつもより倍の時間がかかっているようにさえ感じた。
…ちゃんと…説明しなきゃ。
今日。
会いたい。
私は飛び出しそうな心臓を抑えるように胸に手を当て、思いきって沈黙を破る。
「…部長…今日…」
「社長には俺から伝えておく。早く着替えろ。風邪を引く。」
部長が……私の言葉を遮った。
…今日の約束は出来なかった。
………させてもらえなかった。
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