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彼女の仕事に対する姿勢は真面目そのもので意欲的だった。覚えも早く、正確だった。
でも、一番はその人柄だったかもしれない。
彼女は男女問わず誰でも同じように接していた。
それが男にとってはうれしくもあり、全く男として意識されていないんじゃないかと悲しくもある。……と、周りの奴らがよくこぼしていた。
実際、あれだけの容姿なのに、今まで社内で浮いた話が一つもない。
誘われても、やんわり断る。
でも、相手が不快になるような言葉は絶対に選ばない。
それが彼女という女だった。
そして、それは俺に対しても例外ではなかった。
他の男への理由と変わらず、断られた。
俺だって、モテる男できたはずだ。
外見だって、イケメンの部類に入るだろう。
この会社の女もその場限りで、何人も抱いた。
女は少し優しくすれば勘違いして体を差し出す。
そう思っていたのに。
彼女の態度が気に入らなかった。
そして、その内にこの女を落としてやろうと思った。
誰にも落とせないこの女を。
周りの奴らはどう思うだろう。
俺は間違いなく注目される。
けれど…
彼女を落としたいと思うのにはもう一つ、別の理由があった。
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