不安

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それは俺だけが気付いたに違いない。 感情をあまり出さない西島。 なぜ俺が気づけたか…… それは俺だけが、アイツを冷めた目で見ていたから。 周りの奴らはアイツを仕事の出来る男として、根っからの仕事人間と決めつけてるようなところがあった。 言い寄る女は相手にしてなかったし、会社で笑って話すなんてあまり見たこともなかったから、無理もない。 俺はある日、なんとなく気付いた。 室井 ゆいに対するアイツの態度はどこか他と違うように俺には見えた。 ただ、何なのかハッキリ言えないほどの何かだった。 でも、俺には想像できた。 ヤツも彼女を気に入ってる。 だから、俺は決めたんだ。 アイツより先に彼女を手に入れる。 アイツが営業に来てから、いろんなことでヤツと自分を比べてしまう。なぜか、周りにも比べられている気がした。 アイツに勝てるものが何もない気がした。 俺は営業で三年も過ごしているのに。 営業の成績はトップクラスと言えたが、アイツが来てからそれは霞(カス)んで見えた。 室井 ゆいをものにする。 アイツの悔しがる顔がどんなものか見てみたい。 そう思ってた。
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