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朝からいつも通りに過ごしていた。
午後になると、イレギュラーな仕事が舞い込んできた。
私は社長室に呼ばれた。
「お呼びでしょうか?」
「ああ、悪いね。…H社の渡辺会長わかるね?」
「…はい。渡辺会長がどうかされましたか?」
「体調を崩されて入院されたらしいんだ。今日夕方にはお見舞いに行こうと思ってね。」
「…そうでしたか。心配ですね。」
「…ああ。それでお見舞いに花をお持ちしようと思うんだが、室井くん、会長が喜びそうなアレンジを花屋でお願いしてもらえないかな?」
「…会長に喜んで頂けそうな…。」
「そう。花屋に電話で頼んで届けてもらってもいいとは思うんだが、お見舞いの花なんて言うと似たり寄ったりだろう?出来れば室井くんが直接花を見て、注文して欲しいんだ。渡辺会長は花がお好きだからね。お見舞いにたくさん花も貰うだろうけど、他とは違うアレンジをさ。」
「…わかりました。社長は何時に出られますか?」
「そうだな。5時半には出たいが間に合うかな?」
「わかりました。では、行って参ります。」
と、いうわけで花屋さんに出掛けることになったのだ。
仕事中に花屋さんに行けるなんてうれしい。
いい気分転換になりそうだった。
私は事務所に戻って、部長に伝えて許可をもらうと会社を出た。
来週から6月に入る。
周りのみんなも6月を待たずに既に衣替えを始めていた
私も例外ではなく、もう上着は着ずにブラウスだけ。
花屋さんは会社から歩いて15分もかからない。
天気も良くて、花屋さんに着く頃には少し汗ばんでいた。
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