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ゆいは何度も俺にキスをくれた。
俺を感じて、感じさせてくれた。
「…ちゃんと満たされたぞ。」
本心だった。
「…よかった。」
そう言ってまたキスをくれる。
「俺のこと帰さないつもりか?」
本当に帰りたくない。
「まだ月曜ですもんね。帰って欲しくないけど我慢です。」
最近のゆいはこんな風によくかわいいことを言ってくれる。
そう言われると余計に帰りたくないんだが、わかってるのか?
ゆいが服を着け始めるので、仕方なく俺も支度する。
今日は駐車場まで送ると言う。俺は本当に帰りたくなくてゆいの言葉に甘えた。
「こんばんは。」
アパートの外でゆいがちょうど出くわした住人らしき人に声を掛ける。
「…こんばんは。」
そう言いながら視線をゆいから俺に一瞬移したような気がした。
若い男だった。
「男もいるんだな。しかも若い。」
男がドアに入って見えなくなってから俺が言う。
「最近入ったみたいです。まだ学生さんみたいですよ。」
「…そうか。」
「じゃ、おやすみなさい。」
「ん。おやすみ。ご飯ごちそうさま。後、ゆいも。」
ゆいは顔を真っ赤にして俺を見送った。
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